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アトラスの書 第10章後編

   ↑  2007/03/21 (水)  カテゴリー: アトラスの書
<<アトラスの書 10章その3>>  HC130ページ~134ページ

 次々と明かされるアナの秘密、そしてゲーンの厳しい口調にアトラスはうつむき、じっとひざの上に置かれた手を見つめていた。そして、再び口を開いた時、彼は平静を取り戻したような穏やかな口調で話し始めた。
「それでも、おばあちゃんは僕にとっても良くしてくれたよ。僕の飢え死にしないように僕の面倒も見てくれた。それに、そう、おばあちゃんは僕にいろんなことを教えてくれたんだ」
「教えるだと?」
 ゲーンはそういって笑い出した。
「何を教えてくれるんだ?穴蔵の中で生き残る方法か?せいぜい土ぼこりを食い方や、雨乞いのやりかただろ!」
「違うよ!」
 ゲーンのあまりの言い方に、アトラスは傷つき、困惑し、そして怒り、叫んだ。間違いなく彼の人生でもっとも激しい怒りを感じていた。
「おばあちゃんは、間違いなく父さんよりもたくさんのことを教えてくれたよ!」
 その言葉を聞いて、ゲーンの笑いが硬直した。アトラスのほうへゆっくりと歩み寄ると、冷たく恐ろしい眼差しを彼に突き刺した。
「今なんと言った?」
「おばあちゃんの方が、もっといろんなことを教えてくれたと言ったんだよ」
 父の迫力に脅かされつつもアトラスがそう答えると、彼はアトラスのあごを持ち、無理やり彼のほうを向かせていった。
「あの女が一体何をそんなに役に立つことを教えてくれたというんだ?小僧」
「ドニのことを教えてくれたんだよ」
 ゲーンは再び笑い出した。
「せいぜいウソを教わったんだろうよ!」
 すると、アトラスはまっすぐに父の目を見て、流暢なドニ語で答えたのだった。
「揺らぐことのない、正しいこと、そして価値のあることを教えてくれたんだ」

 まるで夕日が地平線のかなたに沈むようにゆっくりと、ゲーンの顔から笑みが引いていった。
「そうか、知っているのか。ずっと分かっていたのか。」
 ゲーンの瞳がまた危険な、背筋が凍るような冷たさを帯びてきた。
「分かっていて、ずっと分からない振りをして座っていたというわけか。俺をだまして」
「違うよ!」
 アトラスはなんとか弁明をしようとしたが、もうゲーンは聞いてはいなかった。両手で彼をつかみ揺さぶると、
「この裏切り者で、恩知らずの小僧が!つまりは、さっさとお前を帰して、あのつまらない小さな穴蔵で腐らせたほうがマシだというわけか。まあ、お前のばあさんは喜ぶだろうがな。だからこそ、俺は絶対にお前を帰したりはしない。今だけじゃないぞ、永遠にだ!」
「でも戻らないと!おばあちゃんが心配するよ。何の便りも無かったら・・・」
 そう言い張る彼の首根っこを強引につかむと、ゲーンは息子を引きずり部屋に投げ入れた。そして、音を立ててドアを閉めると鍵までかけてしまった。
「待ってよ!お願いだから、父さん、話を聞いて・・・」


* * *


 それからしばらく何の音沙汰も無かったが、とうとう3日目にしてゲーンは初めてアトラスの部屋のドアをノックしたのだった。
「アトラス?」
 その時彼は、ワードローブの中で眠っていた。そこは、彼にとってベッドよりも居心地が良かったらしく、その中にドニの本と食べかけのリンゴを持ち込んでいたのだった。突然のノックに飛び上がるほど驚いたアトラスは、急いでリンゴと本を隠し、ベッドへ飛び移ると布団の中へ身を滑らせた。
「アトラス、起きているか?話したいことがあるんだ」
 再びゲーンの声が聞こえてきた。それは明らかにドニ語だった。話したい、という言葉に当初であれば拒絶する所なのだが、今では怒りも収まり、それよりも父が何を話したいといってきたのかということの方が知りたかった。
「分かったよ・・・」
 その声を聞いて、ゲーンが部屋へ入ってきた。彼は極度に疲れているように見えた。目の周りには睡眠不足と思われるクマが深く縁取っており、服も汚れている・・・よくみると、あの口論があった日と同じ服を着たままだったのだ。
「考えてみたんだけれど・・・」
 そう、アトラスが話し始めると、ゲーンはその言葉を手で制して
「いや、今はドニ語で話した方が良い」
 という。彼はその言葉に従い、ドニ語で話し始めた。
「僕、考えてみたんだ。父さんの立場になって。そうしたら・・・父さんの言う意味も分かったと思う」
「つまり・・・結局どういうことだ?」
「どうしておばあちゃんに対してあんなふうに思ってしまうのか分かった気がするんだ。つまり、どうしてそんなに嫌うのか」
 ゲーンはその言葉に驚いて笑い出した。しかし、彼の表情にはどこか悲痛さが漂っていた。
「違うぞ、アトラス。俺は、別に嫌ってはいないのだ。単純なように見えてもそんなに簡単なことではない。ただ、あいつを責めている。ドニに対してやったことに対して非難しているだけなのだ。そして、死ぬと分かっていながら親父をここに置いて逃げたことも」
「でもそれは嫌っているのと同じじゃない」
「説明するのは難しいんだが、彼女は俺の母親であり、つまり俺を愛さなければいけない。それは彼女の母としての務めだ。そういう義務感というのを彼女の視線から感じたこともある。しかし、実際は俺のことなんて好きじゃないんだ。本当の所を言うと、一度だって好きであった事もない」
 ゲーンはそういって首を振ると、続けた。
「ヴェオヴィスについても同じだ。彼女は決して彼のことが好きじゃない。むしろ憎らしいと思っていた。失礼でしかも野蛮な奴だとな。それにもかかわらず、落ちぶれたそいつをみて、なぜか彼を愛してやら無ければいけないと思ったんだろう。そして彼を救ってやらなければならないと」
 そういってため息をつく。
「あの女は偽善者なのだ。正しいとされるであろうことを知っていても、それに従おうとしない。その弱さが、神々の種族(であるドニ)を滅ぼしてしまったのだ」
「でもそれで父さんは助かったでしょう。おばあちゃんがドニから救い出してくれたから助かったじゃないの」
「その通りだ」
 そういいながら、ゲーンは部屋の奥の暗がりにぼんやりと目を移す。
「なぜなんだろうと思う日もある。そしてそれはある種の弱さでは無いのではないかと考える時もある。二人でドニへ帰ってここで死んで全てが終わったという方が良かったのだろうかとも思う・・・」
 それから長い沈黙が続き、アトラスは父の顔を、これまでに無いほどじっと見つめていた。父の信念は確かにとても凄いことだと思う。一人でドニを再建させようというその信念は。凄いと思う、が、同時に無益なことのようにも思えるのだった。
「じゃあ、僕はおばあちゃんに会えるの?」
「ダメだ。俺の気持ちは固まってる。行くような余裕は無い」
「でも僕が帰らなかったら心配してしまうよ」
「黙れ。俺が駄目だといったら駄目なのだ。これ以上この件について言うことはない。リジャスにお前が元気でやっているが戻れないことを書いた手紙を送らせるからそれでいいだろう。それ以上、お前たち二人が何らかの接触を持つことは断じて許さん、いいな」
 アトラスは黙ってうつむいていた。道をふさがれたも同様だった。アナともう会えない、その事実が彼をぞっとさせた。
「そしてお前の裏切り行為についてだが・・・」
 ゲーンは息子の心の中に黒い影が広がっているということにも気づかず続けた。
「お前には酷く失望したと言わなくてはいけない、アトラス。しかし今回はとりあえず見逃すことにしてやろう。それに長い目で見ると良かったのかもしれん。おかげで(お前が本当は既にアナから教わっているなら、色々と教える)作業が減るし、予想していたよりも早く仕事を進められるだろうしな。もしかしたらもう自分の本を書き始めることもできるのかもしれない」
「本を?」
 そう聞いて、アトラスは顔を上げた。
「そうだ。しかしその前に約束しなくてはいけない。いいか、これからは決して、絶対に俺の言葉に質問をするな。そして、俺の背後で何かを企むんじゃない。これだけははっきりさせなければいけない、アトラス。ここでは俺が主人で、俺の言葉は法なのだと言う事をな」
 アトラスはゲーンの顔をじっと見つめた。そして、とうとう理解したのだ。彼には何の選択肢もないということを。
「約束します」
「よし。では来い、飯を食おう。腹が減って死にそうだろう」


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