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アトラスの書 10章中編

   ↑  2007/02/12 (月)  カテゴリー: アトラスの書
アトラスの書 第10章中編 HC125~130

 その夜、夕食の後にアトラスはとうとう今まで心のうちに感じていた疑問をゲーンにぶつけることにした。心のうちに感じていたこと、というのはいつになったら裂け目へ戻れるのかということだ。しかし、
「父さん、いつ戻るの?」
 と、尋ねたのだがどうやらゲーンには全く思い当たる節が無かったらしく
「戻るとはどこへだ?」
 ときいてくる。
「裂け目にだよ」
 その言葉にゲーンはくだらないというように一笑すると、
「あそこへ?あんな所へ戻りたいというのか、お前は」
「だって、父さん約束したじゃないか」
「俺は、出来れば戻ると言ったまでのことだ」
 といって、ゲーンは全く取り合わない。それどころか
「うるさい、お前のバアさんを黙らすために言っただけのことだ。それだけだ。それに、だいたいあそこまで戻るといったって早くて4・5日かかるだろう。そしてまた更に3・4日かけて帰ってくる。一体何のために?」
「それなら、裂け目に飛べる本を書いてアナをこっちにつれてくるのは?」
 しかし、それは無理らしい。というのも、この世界(=地球の書)は既に完成したものである上、同じ世界の中の別の場所へ移動するような接続書は作れないらしい。そして更には裂け目への接続書は裂け目にいる状態でしかつくれないということらしい。
 ゲーンにとって、裂け目という場所はただの穴蔵であり行く価値も無い。そして彼は自分の息子がこれ以上アナと関わることは良くないと考えている。しかしアトラスはアナが心配しているから戻りたいと言い張って全く二人の意見があわない。腹を立てていうことを聞こうとしないアトラスに、ゲーンは一つの話をすることにした。
「いいだろう、これから俺が話す話を聞いてから、俺が正しいかどうか判断することだな。今から30年ほど前、俺がまだガキの頃に戦争があった。ヴェオヴィスという若造が起こした戦争だ。奴は貴族の息子で、しかも莫大な資産を独占して相続できる立場にあった。更にはこれから評議会の一員、つまり立法者になれるという恵まれた環境にありながら、それだけでは満足できず、ドニの法を破ったのだ。特権を全て放棄してな」
「どうやって?」
「言葉に出来ないほどの極悪非道ぶりだった。明らかに奴の存在はドニ社会のガンであり、すぐにでも排除されるべきだったのだ」
 そのヴェオヴィスは結局つかまり、5人の元老による裁判を受けることになった。20日間もの時間をかけて証人による調書が取られ、結局ヴェオヴィスは脱走不可能とされる場所へ幽閉されることが決まった。しかし、その処分が下される前にヴェオヴィスは友人の手引きでドニから脱走を図ったのだ。
 それから半年ほど、彼は消息をたっていたが、彼が名を変え下町の酒場で体制への不満をあおっているという噂が流れた。最初はただの噂に過ぎなかったが、やがてギルド幹部の殺傷事件や放火など何件かの事件が続いて起こった。そしていよいよ評議会がこの件について重い腰を上げた時、事態は既に最悪の状況に陥っていた。ヴェオヴィスは庶民の間のトラブルを扇動し、下流社会を混沌へ落としいれ、暴徒と化した民衆が街を闊歩し彼らの前に立ちはだかるものはだれかれ構わず殴りかかり、また殺していく騒ぎになっていたのだ。
 ようやく騒ぎが鎮火し、下水道から逃亡を図ろうとしていたヴェオヴィス自身が捕まったのはたっぷり6週間過ぎた後の事だった。捕まったヴェオヴィスに下される判決は当然死刑だった。しかし・・・。
 ゲーンはそこまで話すと、顔を背けた。明らかにその先のことについて話すのが心苦しそうだった。
「死刑こそが賢明な判断だったはずだ。しかし、その判決が下される前に、最後の証人がヴェオヴィスを弁護するため証言台にたったのだ」
 ティアナだ、とアトラスはアナから聞いた話を思い出しながらつぶやいた。
「その証人は、ティアナという女性だった」
 アトラスはこの話について彼が知っていることを話して話を終わらせようと口を開きかけた。しかしゲーンはそんな彼の様子には気づかず、口調にさらに辛辣さを加えて続けたのだった。
「ティアナは、当時元老院から敬意を受けている立場だったため、彼女の意見は強く受け止められたのだ。」
 ティアナは、危機は既に去ったこと、そしてヴェオヴィスは確かに最悪の事態を招いたけれどそれでもドニはその危機を乗り切ったではないかと訴えた。そしてもし今回の主導者がヴェオヴィスでなく他のもっと極悪な者であったら、騒ぎは下流階級だけではなく全階級に及んだだろうと言った。そして、このティアナの雄弁な説得が5人の元老の気持ちを揺り動かし、なんと初審の死刑を覆し終身刑になってしまったのだ。
「そして、判決どおりヴェオヴィスは牢獄の時代へ幽閉されることになったのだ。しかし」
 彼が幽閉されて三日後に事件は起こった。禁固されている間当然だが見張りが朝晩彼の状態をチェックするのだが、三日目の夜になって見張りへ行った看守が帰ってこなかったのだ。更に二人の看守が事態を見に行ったのだが、彼らが行った時には牢獄はもぬけの殻になっていた。そこにはヴェオヴィスはおろか、いなくなった看守の気配すら消え去っていたのだった。
「ヴェオヴィスの逃亡を、最悪の事態と受け止めるべきだったのに、奴らは以前の彼の逃亡の時の教訓を全く無視した。ヴェオヴィスがその後姿を現さなかったことを良しとして、どこかに逃げてもう現れないだろうと楽観したのだ。しかしヴェオヴィスはたった1年の間に2度も望みを絶たれ復讐心に燃えていた。それなのに愚か者どもが。彼は逃亡して傷でも癒してるんだろうと思って何もしないとは・・・愚か者が」
 アトラスは、ゲーンの瞳に突然燃え上がった怒りに驚いた。
「そして、とうとうヴェオヴィスはまた舞い戻ってきた。今度は寄せ集めの暴徒などではなく、小さいながらも統制の取れた熱狂者を連れてやってきた。彼ら一人一人の胸には唯一つの信念、ドニの破壊ということだけが燃え上がっていたのだ。そうだ、ティアナは間違っていた。危機は去ってはいない。ヴェオヴィスがあの時やったことは最悪ではなかったのだ」
「けれど、ティアナは当時はそんなこと分からなかったでしょう」
「分からなかっただって?」
 ゲーンはアトラスの言葉に心底がっかりした様子で首を振った。
「あの女はただの馬鹿なおせっかいだ。そして彼女の意見をただ聞いていた俺の親父も大馬鹿だ」
「お父さん・・・?」
「そうさ」
 そういいながら窓際へ歩み寄ると、崩壊したドニの風景を眺めながらゲーンは尋ねた。
「それとも、これもあいつが話さなかったことか?」
「あいつ?」
「アナさ、お前のばあさんの」
「え・・・?どういうこと?なんでおばあちゃんが関係あるの?」
 すると、ゲーンは冷たく笑って
「まだ分からないのか?」
「何を?」
 ゲーンは振り返りアトラスの目をじっと見ると、厳しい顔をして言い放った。
「アナがティアナだということだ。ティアナというのは俺の親父、つまりお前の爺さんが結婚する時につけたドニの名前なのだ」
「え!・・・・そ、そんなのウソだ。そんなこと・・・ありえない!だって、おばあちゃんはそんなこと一言も・・・」
「いいや、本当の話だ。お前のばあさんのお節介焼きのせいでドニは滅んだのだ。すっかりと、跡形もなくな。ヴェオヴィスは死ぬはずだった、それで事態は収拾するはずだった、しかしそうはならなかった、彼女が余計なことをしたからだ。自分の意見を言いたいという衝動が抑えられなかったんだ。あいつはいつも自分が一番だと思っている。一番物事を分かっていると。だから決して人の意見を聞かないんだ。決してな!」
 アトラスは何もかも信じられなくなって頭を振った。
「あいつは、俺についてだってお前に話していたか、アトラス?いいや、話してない、当然さ。さあ、考えろ、他に何をお前に隠している?」
「話せなかっただけだよ、きっと!」
「いいか、アトラス、感情に身を任せて周りが見えなくなってはいけない。俺たちが住んでいるこの世界は厳しい世界なのだ。そして感情に流されると、まるで落石が人を殺めるように確実に死に追いやられる。これこそがお前のばあさんが決して耳を傾けない教訓だ。だから俺はお前をあいつの元へ行かせたくない。おまえ自身の為にな、アトラス」










□ 注

 本当はここで区切りではなくまだまだ続くのですが(あと4ページくらい)、読みやすさなども含めてここで区切ることにします。

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