【MYST】日本語化支援したりしなかったりとりあえずゲームMYSTの「アトラスの書」「ティアナの書」を読破したいなとか、弱気な目標に向かっていくサイト。 

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第8章 後半

   ↑  2006/12/17 (日)  カテゴリー: アトラスの書
<<<第8章 後半>>> HC103~110ページ(PB145~155ページ)

 しばらくの間船の上で居眠りをしていたアトラスだったが、目を覚ますとまだ彼らが船上にいて移動中だということに驚いた。あくびをしながら伸びをすると、ゲーンを見上げる。するとそれに気づいたゲーンは笑う。
「ああ、やっと起きたか。ほら、後ろだ。もう少しで見逃す所だったぞ」
 そういわれてアトラスが立ち上がり、振り向くと・・・。
 街が目の前まで迫ってきていた。空一杯を埋め尽くすように古の建物が大底窟の天井へ向かって高く伸びていたのだ。そして彼のすぐ目の前には、今まで見たこともないほど巨大な門がそびえていた。その門は他のドニの建造物と比べると粗野で飾り気がないが、とにかく大きい。10個ほどの石のブロックで作られているのだが、そのブロックの一つ一つが大邸宅がすっぽり入ってしまうほどの大きさなのだ。恐らく湖に浮かぶ他の島の内、一番大きなものですら楽々この門をくぐれそうなほど巨大な門だ。
「ケラスの門だ」
 ゲーンが門を見上げながら、誇らしげに言った。
「ケラス・・・」
 突然耳にした彼のお気に入りの英雄の名前に、アトラスは全身に電流が走るのを感じた。
「ドニの全ての王はこの門を通って、航海にでたのだ」
 とゲーンは続ける。
「それは南の島々へ行き、帝王学を学ぶためだ。そして彼らは1年後再びこの門をくぐって戻ってくる。王宮庁舎の前で戴冠式を行うためにな。その式典には何万人ものドニ市民が参加し、式の後には一ヶ月も続く華やかな祭りが行われていたのだ」
 ゲーンの話を聞きながら、アトラスは思った。
― この門がケラスと名づけられたのは、彼が歴代の王の中で一番偉大だからなんだ…。



 船は二人を乗せゆっくりと門の下を進んでいく。その間アトラスはケラスの門にシミや小さな穴が無数にあるのに気づいた。それは門が相当古いことを感じさせるものだった。
― 幾千年もの間この門はここにあるのか。
 アトラスは、ケラスがオオトカゲの背に乗って凱旋する話*1を思い出しながらそうつぶやいた。しかし今この情景を目にして、彼は今まで心に描いていた物語の風景を少し訂正しなければいけないことに気づいていた。というのも、アトラスは砂漠に住んでいたため、てっきりケラスはオオトカゲの背に乗って大砂漠を越えて戻ってきたものだと思っていたのだがそうではなく、広い海を越えて戻ってきたのだ。そして恐らくオオトカゲもケラスを乗せていたわけではなく、ケラスの足元にいて静かに船に揺られていたに違いない。
 その情景は、アトラスにとっては少し違和感があったらしく、彼は顔をしかめた。そして他にどんな想像間違いをしているだろうかと彼はいぶかしんだ。例えば、毒の水が流れる場所といわれているトレ・メークティーについてはどうだろう。本当にまだあるのだろうか。アトラスがたずねてみようとゲーンのほうを向いた時、彼が言葉を発するよりも前にゲーンが続けて話し始めた。
「今回は初めてだから、俺から離れるなよ、アトラス。今日、我々が探索を行う場所は町の一区画のみにするつもりだ」
 そういって、ゲーンは街の方を指差す。それは入り江からさほど離れていない場所のように見えた。
「あれが探索を行うところ、ジェ・ターリ(J'Taeri)地区だ。運が良ければ我々が探しているものが公共図書館で見つけられるはずだ」
 アトラスはうなづくと、船のへさきに立ち門の下から徐々に現れた街を眺めた。彼らのすぐ目の前にはひびが入った白い大理石の大きな壁が、まるで巨大な階段のように3段になって並んでいた。また、正面にはそこかしこに人の7・8倍もの大きさの巨大な石像がかつては門の方を向いて立っていた様子が伺える。というのも、今は2体しか完全な形で残っていないが、足の辺りだけ残して残骸となった石像の破片があたりに散らばっていたからだ。その残った足だけでも、まるで床から突き出た柱のように大きかった。
 その石像群の先は広大な広場になっており、そしてその向こうにはドーム型の寺院らしいものが見える。そしてその更に先には街が段々になって広がっていた。
 遠くから見たときにはただの塊にしか見えなかったが、今近くまでやってきてみると各層によって建物に違いがあることにアトラスは気づいた。下の方の建物は灰色か鈍い赤茶色の色をしているが、上の方の建物は黒地に赤い線が入った建物になっている。そしてそういう黒地に赤線という配色は、他の島々の邸宅やトンネルの途中にあった門などと同じだった。
 また近くにやってきて気づいたことは他にもある。それはドニの街が遭遇した被害の大きさだ。この街のどこを見回しても、崩壊の爪あとを見ることが出来た。というより、全く被害を受けていない建造物を見つけること自体が難しいほどの崩壊ぶりなのだ。アトラスは更に視線を下に向けてみた。すると透明な水面下、恐らく目に見えているよりもずっと深いであろう海底に商戦の船団が沈んでいるのが見えた。かつてはここに停泊していたものが沈んだに違いない。
「ドニの人たちを殺したのは、地震だったの?」
 アトラスは父を振り返り尋ねた。しかし、彼は船を桟橋の柱にくくりつけるのに忙しいらしく答えは得られなかった。その代わりに、ゲーンは桟橋から下りている縄梯子を上るように目配せをしたのだった。
 言われたままにハシゴを上り、桟橋に降り立ったアトラスはまたもやその光景に息を呑んだ。船の上から見るよりも、実際にこうやって街に降り立った時の感動はまた一際大きい。アトラスは振り返ってケラスの門を眺めると、今度はゆっくりと一回転しながら周囲を見回した。すると、はしごを上ってきたゲーンが彼の横にやってきて、そんなアトラスの様子には全く構わず言った。
「行こう、アトラス。また時間を無駄にしてしまった。埋め合わせなければ」
そういって広場の先の崩れたドームの方を指差すと、
「目的地はあそこだ」
といって歩き出した。アトラスも急いで後ろを追いかける。

 それにしてもこの広場は恐らく以前は完璧に整備されていたのだと思われるが、今や無残にも崩れた岩の塊がそこら中に散らばり、大理石で出来た地面にはひび割れが縦横無尽に広がり、所々クレーターのように陥没している所もある。また、王宮庁舎も崩壊しており、ドームも3分の2が崩れていた。父の後ろを付いていきながらそんな街の様子を見ていると、アトラスは自分たちはこんな崩壊した街で一体何をしているんだろうと思わずに入られなかった。しかしそんなアトラスの疑問には全くお構い無しにゲーンは周りをちらちらと眺めるだけで、わき目も振らず中央通りを通り抜けるとビルの裏手にある小さな部屋へ入っていった。
 そこは食品貯蔵室を兼ねたキッチンか何かのような部屋だった。
 そこに入るなり、ゲーンはそこにある棚の一つのそばに歩み寄り、その裏にある何かを手前に引いた。すると、まるで足元で何かが動くようなガチャガチャという音がするのにアトラスは気づいた。その様子に、ゲーンは少しだけ満足げな笑顔を浮かべると、今度は部屋の反対側へ移動して壁に手をつき押したり引いたりしながら何かを探っているようだった。しばらくそうしていたゲーンだが、やがて目的の何かを見つけたらしく壁の一部を押した。するとどうしたことだろう、壁全体が突然その奥へ引っ込みその裏にあったくぼみにスライドした。そして、そこへ暗い通路が現れたのだった。

 ここからしばらくこの暗い通路を歩いて行く著述が続く。ゲーンによるとこの通路はまるで迷路のように入り組んでいるらしい。そしてこの通路が誰によって作られたかは明らかになっておらず、ドニがここに住み始めたかなり初期の時代に作られたものらしいことくらいしかわかっていないらしい。
 しばらくの間上り下りなど続いた後、彼らやはっと通路の出口に出てくる。それは家具などが一切置かれていない狭い部屋だった。その天井は無い。これはドニ式住宅の特徴だ。ドニの建造物は、王宮宿舎など一部の公式な建物を除いてこのように屋根が無い。そもそも雨も降らず、気温の変化も無いここで屋根を作ること自体が無駄なのだ。一般的なドニの住居では、最上階の天井に厚い藁などを乗せている所もあるが、2・3階建ての住居では寝たり風呂に入ったりするのは天井がある下のほうの階でするため、そんな必要も無いのだ。
 部屋はバルコニーに繋がっており、そこから狭い路地に出ることが出来た。その路地を歩き人気の無い往来を眺めながら、アトラスは緑色の岩で出来た建物を眺めたりして、まるで迷宮のように入り組んだ路地や階段、そして舗装された道にうっとりとしていた。そんな町の中を歩いていくアトラスの脳裏に、聞きなれた懐かしいアナの声が聞こえてきた。
― アトラス、何を見ているの?
 壁に書かれた絵を見ているんだよ。それに窓際にあるボードや、30年も放置されているゴミの山・・・。そして・・・荒廃や遺棄されたもの。家をシェアして使っていた痕跡や、乗り捨てられた車に、擦り切れた物干し紐にかけられたぼろきれのような服。
― それを見て何を考えたの?
 アトラスは周囲をもう一度見回すと、心の中でアナに答えた。
 まわりの邸宅は古くて堂々としているから、かつてこの辺りは立派で、むしろとてもお洒落な住宅街だったのかもしれないけれど、最近では貧しい住宅街だったに違いない。つまり、非常にむさくるしい場所だったと思う。そして、地震がこの辺りを更に悪くしたんだと思う。
― いい答えね。だったら、何であなたのお父さんはここに来たと思う?こんな場所で何を探しているんだと思う?
 本だ、とアトラスは静かに答えた。しかしそれが答えとして十分では無いと感じていた。なぜ父さんは更に本を欲しがるんだろう?




---------------注釈---------------


「ケラスの話」
もう訳をやったのはだいぶ前のことで、本人も忘れておりましたが、第1章後半にアトラスがアナからケラスの話を聞くのが大好きだというエピソードが載っています。
Tre'Merktee(トレ・メークティ)は、Treが「at the」、Mekteeが「poisoned waters」という意味のドニ語。地下にある砂漠で、毒の水が流れる場所と言われている。ケラスについての物語で、彼が若い時にここに幽閉されたという話が残っている。


ところで、ドニの大洞窟(Great Cavern)を今までどう訳そうか悩みつつごまかしながらやってきましたが、「大底窟」という良さげな訳を思いついたので今後これに統一します。
他の人の日本語版ではどう約されているのかは知りませんけれど、俺はこれでやっていくことにすると決めた。

あと、丁寧語アトラスですが、やっぱりやめた、、、
元が英語でかなりフランクに話しているので、まああわせるわけではないけれどまだ子供だしいいかなと。この時点ではまだ父親に対して反感は抱いておらず、むしろ尊敬している節もあるので、もう少し両者が対立するようになってから口調を変えようと思います。

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