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ティアナの書 Part1 その8

   ↑  2006/12/06 (水)  カテゴリー: ティアナの書
<<<Part1 その8>>> ハードカバー25~29ページ


 掘削の最中であっても、若いギルドマンたちには彼らの部屋に戻って休憩することが許されていた。一方、監視官たちも二番目のエクスキャバターの中にあるギルドマスターの部屋に移動していた。
 アトラスも彼の寝室に戻ってきた。彼はしばらくの間ケドリの言葉を思い出して笑っていたが、すぐにその笑みも消えて行った。通常であればクリーンアップの第二段階に携わりながら色々と考え事をする時間があるのだが、ここ数日彼にはそんな時間が無かった。それにしても、ケドリ以外に誰がこんな風に知らない人に常に囲まれた生活に平気でいられるだろうか。
 個人的に、アトラスであれば一人になれる静かな場所が必要だ。
「それに、十分な量の化学薬品とノートも」
と、彼は思う。そして、ふと彼の母親が彼のこの岩や地質学への入れ込みようをからかっていたことを思い出した。「異常だわ」とよく言ってたっけ。けどあの老いたコック、マスター・ジェラールによるとドニ人が岩に興味を持つのは異常でもなんでもないのだ。なぜなら岩は彼らの一部のようなものだから。
 彼が寝台に腰掛けている間も、外ではひっきりなしにドリルが岩を削る音や岩が落ちる音がしている。しかしそうした騒音も、普通の人が取りのさえずりや川のせせらぎを自然な環境音と捉えるように、アトラスにとってはもっとも自然な音だった。
 昔、彼がまだ幼かった頃、まるで今の彼を予期したかのように彼の父親は「ちっちゃい虫くん」と呼んだものだ。そして今や彼は本当に虫のように穴を掘り、道を探し、暗闇の中を探索している。
 そんなことを考えながら、彼は服が服を着替えようと立ち上がった時のことだった。不意に外でどよめきが起きるのが聞こえたのだ。急いで通路へ出て窓から顔を出すと辺りを見回した。トンネルの中からだ。誰かが痛みにもだえる声だ。
 背後で人が騒ぐ音がして、しばらくしてマスター・テラニスが出てきた。
「何が起こったんだ、アトラス」
「誰かが怪我をしたようです」
 二人は走る。そして、トンネルの丁度入り口辺りで若い技師の一人とすれ違った。彼の顔は蒼白だった。
「誰なんだ、ターネリン」
そういってテラニスが彼の腕をつかむ。
「エファニスです。折れた刃が直撃して重体です。止血しようとしているのですが止まりません!」
「すぐにアヴォニス先生を呼んで来い。その間私が出来る限りやってみる」
 そう言ってターネリンを行かせるとテラニスは走りだした。アトラスも後を追う。トンネルは後1メートルほどを残し、ほぼ完成していた。そしてその一番突き当たりにカデットたちが集まっていた。ある者は膝をついて、ある者は立ってそれぞれ心配そうにその一人の仲間を見下ろしていた。
 再び痛々しいうめき声が聞こえてくる。
 現場に着いた二人は、初めてエファニスの怪我がどんなに酷いかを目の当たりにした。それは相当に酷い状態だった。どうやら欠けた刃が彼の背後から飛んできて、彼の胸から上腕部にかけて当たったに違いない。助かる見込みは薄かった。彼らが見下ろす間も、エファニスは苦しそうなうめき声を上げている。血が、彼の口元から滴っていた。
 テラニスは取り巻くギルドマンたちを押しのけて彼の傍まで歩み寄ると、エファニスのシャツを破り傷口を検めた。そして辺りを見回すとショックで呆然としている観衆を鼓舞するような切迫した口調で命令した。
「手伝ってくれ、みんな!さあ、急いで!」
 そういってエファニスの頭の下に手を入れると、慎重に抱え込んだ。他の者たちもそれぞれエファニスの肩や背、大腿部の下に手を入れる。
「いいぞ」
とささやくように言うと、痛みでうなるエファニスを持ち上げた。
「よし、エクスキャバターへ運ぼう。アヴォニス先生になるべく早く見てもらわないと」
* * *


 これまで、過去にも何度かギルドマンが怪我をするということはあったが、それでも骨折や打撲、岩で手を切る程度だった。テラニスはこうした彼の安全記録を誇りにしていたのだ。だから今回のエファニスの事件は彼らにとって衝撃的だった。
 次の日の朝、報告のためアトラスがケドリの部屋へ向かうと、彼は机にかじりついて書き物をしている最中だった。そして彼が入ってきたのに気づくと筆を置いた。
「気の毒だったな、アトラス。エファニスは君の友達だったね。酷いものだよ、なあ」
 アトラスは黙ってうなづいた。何も話すことが出来なかった。なぜならエファニスはまだ危篤状態にあったからだ。
「今日はいいよ。休みを取りたまえ。もし実験をしたいならそれも良い。続きはまた明日にしよう」
「はい、マスター」
 ケドリはそういってまた執筆を続けた。アトラスは部屋を去り、テラニスの元へ直行した。彼はトンネル内にいた。掘削が中断された現場にしゃがんで、岩の中にある黒いシミのようなものをじっと見つめていた。その小さな楕円形の物体の中心に少し平べったいガラスのような円形のものが見える。
「それは何ですか?」
 アトラスがたずねると、テラニスは顔を上げ、
「火砕性の沈殿物か何かのようだ、この地層の中に何億年も前から紛れ込んでいる火山性『爆弾』みたいなものだな」
 そういって、彼は中心の暗い部分を指差した。
「外側は単なる黒曜石 ― つまり、ガラス状の火成岩なんだが、この中心の透明な部分は火山がこれを吐き出す前に既にあったものらしい。見たところダイアモンドのようだが・・・」
 アトラスはうなづきながら聞いている。テラニスは続けた。
「恐らく、刃にこの硬い石があたって引っかかり、最終的に折れてしまったんじゃないだろうか」
 そういって、彼は深くため息をついた。
「ああ、やはりサンプリングを抜かすべきじゃなかったよ、アトラス。客人たちに良い印象を与えたくて先を急いでしまった。そしてその結果がこれだ」
「自分を責めないでください、先生。どちらにしろこんなのがあっては刃が折れるのは避けられませんでしたよ。何もかも予測しようなんて無理な話です」
 そうアトラスが言うと、
「そうだろうか」
 といいながら、テラニスは立ち上がり周りに置き去りにしてある機材を見回した。その目に浮かんでいるのは動揺の色だった。それはアトラスが初めて目にする彼の姿だった。
「もし私じゃなかったら、誰に責任があるというんだ?アトラスよ。クルーの安全を確保するのが私の仕事だ。誰の責任でもない、私の責任なのだ。だからエファニスの怪我も私の失態だ。私がきちんと決められたとおりに仕事を進めてさえいれば・・・」
 アトラスは彼の腕に添えた手を引っ込めた。ある意味彼は正しい。細かいチェック項目や工程はこういった事故を防ぐためにあるのだから。
 コホンと一つ咳をして、アトラスは言う。
「マスター・ケドリからお休みをもらったんです。だから、何か別の仕事に回してください」
 その言葉にテラニスは彼を見て、少しあいまいな手振りをしてみせると、
「また後にしてくれ、アトラス。今日の仕事は無しだ」
「しかし、先生」
「今は駄目だ」

* * *


 仕方がないので空いた時間を使って散策をするため、アトラスはナップサックに必要なものを詰め込み出発した。そして今いるノードを出てトンネルを下り、2ヶ月ほど前彼らが削った洞穴網へと向かった。
 ここを削るのには時間も労力もかなりかかったのだが、実際こうして歩くと1時間ほどで目的地についてしまう。ここまでの行程は最初はまっすぐで、そこからジグザグと左右にドニの道を折れ曲がり、そして左に曲がった先が彼らが断層を避けるため回り道を強いられた場所だった。
 道中はドニ石に塗装された濃い緑色の薬品によって薄く明るく照らされていたが、アトラスはドニの道を外れたときのためにランプを二個と発光藻が入った缶を詰め込んでいた。
 目的地までやってくると、円形のドアの外側にある岩棚に腰をかけ、軽食を取りながらしばらく休憩した。そのドアの先がその目的地の洞穴だった。その洞窟の壁には他のものとは違い無数の穴が開いている。ある物は手が入るくらいの大きさで、またある物は中を歩けるほど大きな穴だ。そして今アトラスが今座っているのは、エクスキャバターが丸々入ってしまいそうなほど大きな穴の入り口だった。実際、テラニスの許可が下りて、彼らはこの穴の入り口を支柱で支え、その先にあるもっと大きい洞穴まで約10メートルほど掘り始めていたのだが、この洞穴網の探索にはたった1・2日しか時間がなく、元の掘削活動に戻らなければならなくなったため探索は中止されたのだった。そこで彼らは将来の調査のためにそのトンネルにノードにつけるのと同じようなゲートを取り付け、壁にナラによる滑らかな塗装を施したのだ。
 アトラスはこの当時、この洞穴網についての細かなノートをつけていた。そしてやっと今、道を下って自分のための調査をすることが出来る。そのことに彼の気持ちは高揚した。そして食事を終え立ち上がると、ナップサックからヘルメットを取り出し被り、サックを背にかけるとゲートの前へ歩みだした。
 それは単純な圧力壁だった。壁のホイールを回すと、頭上の通気口からプシューッという空気が抜ける音がした。そして次の瞬間、真ん中が割け、扉の左右が左右の壁に飲み込まれるようにして開いた。
 扉の奥は真っ暗だった。
 アトラスはポケットから小さな袋を取り出す。その中にはたくさんのファイアーマーブルが詰まっていた。そして、そのうちから一つを取り出すと、ヘルメットに取り付けられたランプの蓋を開けて、ファイアーマーブルをそこへ投げ入れた。蓋を閉めてしばらく待つと、ファイアーマーブルが光り始めた。そして1分もしないうちにその光は闇を切り裂く力強い光となって塗装されていない岩壁を照らし出したのだった。
 その様子ににっこりとすると、アトラスはいよいよトンネルの中に足を踏み入れた。

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