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ティアナの書 その6

   ↑  2006/11/28 (火)  カテゴリー: ティアナの書
<<Part1 その6>> ハードカバーP19~21

 どんな小さな岩の破片もトンネルへ通さないほどの密閉度の高い壁によって、ノードゲートが背後で閉じられた。そしてキャンプは片付けられ、音響カプセルも二番目のエクスキャバターへ収められている。その二番目のエクスキャバターは採掘現場より少し左側の背後のノードの壁側に寄せられていた。2つの大きな監視用カメラが、採掘によって飛んでくる石に当たらないくらい十分高い位置に設置されている。
 全ての準備が万端だった。あとはマスター・テラニスが命令を下すのみだ。
 アトラスは、2番目の船の製図部屋で監視官たちの後ろに立って、彼らとともにエクスキャバターが配置される様子を大きなスクリーンで眺めていた。動いているエクスキャバターは機械というよりも、何かの生き物のようだった。そのくねくねとした静かな動きはまるで大蛇のようだ。
 その様子を、彼は静かな満足感を感じながら見ていた。彼が、初めてエクスキャバターが動くのを見たのは4歳の頃のことだった。その時、彼の父もギルドマンとして彼の傍にいて、新しいトンネルが掘られる様をアトラスに見せるためつれてきてくれたのだった。
 ケドリもまた、特に感動しているようだった。彼は身を乗り出してうっとりしてスクリーンに見入っていた。
「位置に付け!」
 と、マスター・テラニスが号令を出した。その声は、彼らがいる製図部屋にも伝えられた。そしてサイレンの音の後、ヒューという音が上がったかと思うと、止まった。
 エクスキャバターの鼻が向きを変え、その荒々しい見た目のドリルがまるでキスでもするかのように優しく仮堀りの印へ近づいていく。そして彼らが見守る中、冷却水が噴出しドリルの周りに厚い膜を作るかのように流れ出した。
 ゆっくりとドリルが回転を始め、岩の中へ少しずつ埋まっていく。低い掘削の音を伴って、ドリルの螺旋が機械的な回転音をゆっくりとたてて行った。そしてその音はドリルの回転が速くなるにつれ高くなって、やがてはキーンという音に変わって行った。と同時に、辺りにほこりの雲が広がっていく。
 そのけたたましい音が耳を劈き、振動でアトラスらの乗っているエクスキャバターがまるで鐘を鳴らしたようにカチャカチャと音を立てた。そして、ほこりの雲はもくもくと広がり彼らの視界を遮っていく。時たまスクリーンに見え隠れするエクスキャバターは、その度にどんどんと岩の中へ埋まっていき、その姿はまるで獲物へ食らい付く獰猛な動物のようであった。
 時折、削った岩の破片が彼らが乗っている船にぶつかり、鈍い音を立てた。が、それでも船内にいれば安全だ。エクスキャバターは非常に大きな圧力にも耐えられるように設計してあるからだ。たとえトンネルがつぶれたとしても、岩の中へ閉じ込められるというだけで、エクスキャバター自体は潰れないであろう。
 しばらくして、ケドリはアトラスの方へ顔を向けると、騒音に負けない大きさで言う。
「恐ろしい光景だな」
 アトラスはうなづく。彼が始めてこの光景を目にした時、彼も同じくみぞおちに重くのしかかるような恐怖を感じたのだった。しかし、後に彼は、ギルドの人々のこの素晴らしい仕事にほこりを感じたと父に語っている。もしかしたらあの日あの時に、彼はこの父と同じ測量士ギルドへ入ろうと決心したのかもしれない。
「船尾を見てください」
 スクリーンを指差しながら、彼は叫んだ。再びエクスキャバターの姿がスクリーンに現れていた。その姿はいまやほとんど岩の中に埋まっていたものの、その船の「尾」がまるで生きているかのように左右に振られるのが見えた。そして振りながら、その尾はトンネルの壁に歯型のような傷を付けていく。
「なぜあんなことをしてるんだ?」
 ケドリがアトラスのほうへ向き直る。
「壁に、我々が手を掛けられる手がかりを付ける為です。あの刻みから襟石を削り始めるのです。あらかじめ刻みをつけておくととても作業がやりやすくなるので」
 ケドリはその答えに納得してうなづき、
「賢いな。君たちは何でも考えているんだな」
 その通り、とアトラスは思う。でも、それは彼らに始まったことではなくドニの長い歴史の中で、ドニ人は全てのことを考えてきたじゃないかと。

* * *


 やがて突然辺りが静かになり、エクスキャバターが穴の中から出てきた。その表面はほこりまみれで、またシュウシュウと音を立てながら冷却水が流されているにもかかわらず、そのドリルは熱で真っ赤な光を発していた。
「外に出て見てみたいんだが」
 監視官の一人、筆記ギルドのマスター・ジャイアがアトラスにたずねた。
「いいえ、残念ながらそれは無理かと。外は大変暑いですし、なにしろほこりで息がつまってしまいますからね。我々ですら、しばらくは防護服を着て出ますからね。いや、その前にノード全体へ水を撒いてほこりを静めた後にドリル刃が冷えたら、ノードの外側から空気を内側へ送るのです。それからやっと、クリーンアップ過程に入れるというわけです」
「その後にまた次の段階の掘削に入るというわけか」
 先ほどまで身を乗り出してスクリーンを見ていたケドリが、今では椅子に深く腰掛けてアトラスを見つめている。
「ええ、しかし次の掘削はすぐに始まりますよ。見てください」
 そう彼が話している間に、エクスキャバターのドアが開き、中から二人の若いギルドマンが出てきた。防護服を着、酸素ボンベから彼らの被っているヘルメットへ空気が送られている。二人とも槍のようなものをそれぞれ手にしていた。それは、槍が曲がったような形をしていて、その先にはダイヤモンドの刃が付けられていた。
「彼らがすぐにサイクラーの取り付けにかかりますよ。それが終わり次第掘削の第二段階に入ります。その間に、他のメンバーがクリーンアップを担当するわけです」
 二人のギルドマンがサイクラーの巨大な輪状刃を組み立てている間、更に二人のギルドマンが緩んだホースの束を引っ張りながら出てきた。プラットフォームの真ん中に立ってお互いに合図をすると、ほぼ同時にホースから水が噴出し、天井へ向かって巨大な弧を描いていく。そしてホースを操作して今度は水しぶきを霧に変え、ノード中を満たしたのだった。やがて数分後に水が止められた頃には、ノードに広がったほこりはすっかり落ち、代わりにあちらこちらに黒い泥が残った。
 アトラスはにっこりと微笑んで、
「もしかしたら、我々測量士が何に時間を費やしているのかと思われることがあるかもしれませんが、それがこれですよ。ほとんどクリーンアップ(掃除)ばかりやってます」
 この言葉に辺りから笑いが起こる。
「まるでこの仕事を嫌っているような言い方だな、アトラス」
ケドリが微笑みながら言う。
「いいえ、全く。掃除の間に色々と考えることが出来ますから」
 そういうアトラスを、ケドリがじっと見つめていた。その目は、彼を見ながら何かを考えこんでいるようだったが、ふと我に返ったように目をそむけた。その様子に、アトラスは彼の頭の中にいかなる思索がめぐっているのだろうと思ったのだった。




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