【MYST】日本語化支援したりしなかったりとりあえずゲームMYSTの「アトラスの書」「ティアナの書」を読破したいなとか、弱気な目標に向かっていくサイト。 

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アトラスの書 第7章

   ↑  2006/11/24 (金)  カテゴリー: アトラスの書
<<<第7章>>> ペーパーバックP131~137

 さて第7章は、ゲーンが本を書いているシーンから始まる。
 しかし、本を書くといっても彼の場合スラスラと何も見ずに書くというよりは、他の本を参照しながら書いているらしい。冒頭も
「ああ、あの言い回し・・・あれはどこだったか・・・」
と、本を探し回るところから始まる。
 そして、見つけた言い回しをそのまま写すわけではなく、ゲーンの独断で「これは無くてもいいな」と思う言葉は省いていたようだ。(これが、もしかしたらゲーンの作り世界の不安定さを招いているかもしれないけれど)そして彼はこういう作業に没頭していたらしく、アトラスの授業の時間をすっかり忘れていた。大急ぎで本を片付け、図書館へ向かう。そこには、とうに準備が出来たアトラスが席について待っていた。
 遅れたことに謝りもせず、教壇に立つと、黒板にドニ文字を書く。その筆遣いに気をつけながら書いてから振り向くと、アトラスが実にまじめに彼を見ているのに気づいた。そんな彼の「まじめさ」の中に、生まれつきの落ち着きを感じると、ゲーンはなぜか衝動的にイライラしてしまう。ゲーンは思うのだ、そういう落ち着きは、召使など卑しい身分の者に必要なのであって、ドニ人には全く必要の無い素質だと。そしてなぜか、彼は息子に文字を教えるという作業に虚しさに似た感情を一瞬感じてしまうのだった。

「アトラス!集中するということを覚えろ。簡単じゃないのは分かっている、何しろ私が修得するのに30年近くかかったんだからな。だから生半可なことをやっていたのでは駄目だ。己に鞭を打ってまでやるつもりでないといけない」
アトラスはそういうゲーンの言葉を頭を下げて聞くと、うなづいて
「はい」
 と答えた。そのアトラスの謙虚さ、父の教えに真剣に耳を傾けようとする姿、そして生まれつきの機転のよさに、ゲーンのイラ付いた気持ちは少し収まった。そこで彼は棚から特に厚い本を取り出すと、それをアトラスの机の上に置いた。
「どうやらお前にはもっと先のことも教える必要がありそうだな。それに俺の実験も時間が押している。なので少し違うやり方を試してみることにしよう」
 そういうゲーンを、アトラスは期待にあふれた目で見ている。
「この本は、レヘヴコール(Rehevkor)*という、かつてドニの学校には必ず何冊か置いてあった本だ。この本から生徒は、ドニ人の基本言語であるドニ語の基礎を学んだらしい。お前も同じように、この本から語彙を学ぶのがいいと思うが、これは更に難しいぞ」
 そういいいながらゲーンは本を開き、そこに書かれている図を指差す。
「見ての通り、ドニ語の一文字ずつを見開きで解説してある。その文字の書き方や書き順が事細かに説明してあるのだ。アトラス、俺がお前にやってほしいのは、まず一晩20語を目標にこのレヘブコールの最初から最後まで勉強することだ。書き写すためのノートをお前にやろう、だが約束して欲しい、この言葉がお前の『習慣』になるくらい身に付かせることを。寝ていても書ける位にな。わかったな、アトラス」
「分かりました」
「よし」
 そういって、本を閉じこの場を去ろうとしたゲーンを、アトラスが引き止めた。
「父さん」
「なんだ?」
「この本はどれくらい古いものなの?」
「レヘブコールか?」
 ゲーンは振り返りながら答える。
「1万年か・・・それ以上か、だな」
 アトラスの目に、レヘブコールに対する畏怖の念が広がるのに気づいてゲーンは思わず微笑んだ。こういうアトラスのドニへの尊敬の気持ちの表れが、ゲーンをなぜか喜ばせた。
「父さん」
 息子の相次ぐ問いに、ゲーンは一瞬「もう質問はそれくらいにしろ」と叫びたくなった。が、彼はその気持ちをグッと押さえ込んだ。アナがこの子に植えつけた『害』を取り除くには、とりあえず辛抱強くならなくては・・・。
「なんだ、アトラス」
「いや、なんでさっきより湖が暗いんだろうと思っただけ・・・」
 ゲーンは気持ちを静まるためか、椅子に深く腰掛けながら、
「湖の中のプランクトンが30時間周期だからだ、ドニの時間周期に合わせてな。我々が寝れば、プランクトンも寝る。そして我々が最も活動的な時間は、プランクトンもそうであるというわけだ。こういうふうにして、ここでは昼夜があるというわけだ」
 そういってゲーンは笑い出した。もしそれがジョークだとしたら、それは悪いジョークだったのか、どちらにしろアトラスには理解できなかった。それでもゲーンはそれを面白いと感じたらしく、ゲーンの笑いはしばらく続いたのだった。そして理解は出来なかったが、ゲーンがユーモアのセンスというものを持っているということを発見したのが嬉しくて、アトラスも一緒になって笑ったのだった。


* * *


 アトラスが自分の部屋に帰った後で、一人残ったゲーンは台座の上に載った本を眺めながら思う。アトラスといろんなことを話しながら、この14年間この「話す」という行為自体をしていなかったことに突然気づいたのだ。
 一人。彼はずっと一人ぼっちだった。といっても、心理的にという意味ではない。というのも、彼は自分で自分のことをどんな人間よりも自給自足が出来ている方だと思っているからだ。というより、「知的環境」という上で、一人ぼっちだったという意味だ。つまり、彼は議論をするという機会も無かったし、またかれの豊富な知識を誰かに披露するということも出来なかった。まだ意見をぶつける相手としては幼いが、それでもアトラスには無限の可能性がある。
 それにしても、あの子の存在自体期待していなかった。もうとうに死んでしまっていると思っていたのだ。だいたい、あんな辺境の穴蔵の中で生きているということ自体誰が想像できるだろうか。
「とにかく辛抱強くならねば、あいつと付き合うためには。そして時が来れば・・・」
 と、ゲーンは思う。しかし時間は無かった。彼の実験のいくつかは非常に悪い状態にあり、彼はそれに時間を費やさねばならず、その上アトラスにも構っているなんて無理な話だった。だが、アトラスはとても忠実な子だ。願わくば、彼が今日与えたレヘブコールから概要くらいはつかんでくれればいいのだが・・・・それも時間がたてばわかることか。
 しかしゲーンには、今は他のことに気をかけねば。そう思い、台座においてある本の小窓を眺めると、そこに手を置き、次の瞬間彼の姿は消え去っていたのだった。



======================注釈======================


「レヘブコール」 原文「Rehevkor」
ドニ語で、
ReはThe、hehvはword、corはbook。
hehvとcorがつながるとなぜかhが落ちて、hehvcorになるらしい。
意味は「The Word Book」。語彙書。



□ ■ 青島の独り言 ■ □
ゲーンのジョーク。
何がおかしいんだろうと色々考えてみましたけど、もしかしたら「プランクトンが昼夜を作っている」という考えがおかしいんじゃなくて、「プランクトンが、あたかもドニ時間に合わせて活動している」ようないい方をしたのが面白かったのかな、、、本当は多分「プランクトンの活動に合わせてドニ時間を30時間にしている」んだと思うけれど。
ゲーンのジョークのセンスは分かりませんヽ(´ー`)/
けど、本当に海の中の光るプランクトンがドニの「太陽」に変わるものであることは変わりないようですな。この次の章で、またプランクトンの話が出てくるので。
そういえば、読み直していて気づきましたが「第6章 その1」で、トンネルの中にもこのドニの湖の水が入っているところがあったらしく、「この池なんで光っているの?」と聞くシーンがあります。
ゲーンは無視しているけれどw

それにしても、今のところゲーンは良いお父さんだよなあ。
まあ、子供のアトラスを置いてきたところは良くないけれど。そういう気持ちになってしまった事情も彼の気持ちも理解できないでもない。

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2006/11/24 | Comment (4) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |
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Comment


当時は、ドニ語の標準的な英語綴りが確定していなかったので、表記揺れとも言える現象が生じています。

Rehevkor
Rehhehvkor

どちらも同じドニ語の単語を指していますが、[e]を "e" で表すか "eh" で表すかの差があります。

Yone |  2006/11/25 (土) 21:43 [ 編集 ] No.16


なるほど・・・・。
確かに、アトラスの書のもっと後のほうにAitrusのことが出てくるのですが、これも普通にAtrusになってますしね。
納得です。

青島 |  2006/11/28 (火) 13:22 No.17


そこでドニ文字と綴りを一対一対応にした標準記法が考えられたのですが、
http://linguists.riedl.org/old/transcr.htm

あまり一般的でない文字を使っているためか、ほとんど普及していません。
ルーン文字の thornなんて普通の人は知りませんからね。:D

Yone |  2006/11/28 (火) 23:24 [ 編集 ] No.18


なるほど、ほんとだこんなの見たこと無いですね。
色々考える人がいますねえ。

すいません、こんなコメントしかなくて。

青島 |  2006/12/01 (金) 20:06 No.20

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