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アトラスの書 第6章 その5

   ↑  2006/11/17 (金)  カテゴリー: アトラスの書
<<<第6章 その5>>> ペーパーバック126ページ~

 螺旋階段を上った先は、天井の高い広い廊下になっており、その突き当たりはバルコニーになっていた。ここは丁度テラスのすぐ上のあたりだ。そして、そのバルコニーの遠くの隅に、ドニまでの道のりで見かけた南門と同じように凝った模様がかたどられた黒くて厚いドアがあった。ゲーンはそのドアの前までやってくると、懐から大きな鍵を取り出し、鍵穴にいれ2回回すと鍵を引き抜いた。
 少し後ろに下がる。するとどうだろう、わずかな振動の後、そのドアは上方向へスライドし始めたのだ。ゆっくりとドアは岩の中に吸い込まれて行き、代わりに暗い楔形の入り口が口を開けたのだった。六段の短い階段を下りた先は少し広い部屋になっており、天井からつるされた大きな星型のランプで照らされていた。部屋の中央は、階段状になった棚で囲まれた高座になっており、その高座の上には御影石で作られた6つの大きな台座(ペデスタル)が置かれている。
 アトラスは部屋を見回し、その圧倒的な雰囲気に感動した。というのも、この部屋の壁という壁すべてが厚い石版で作られた本棚で囲まれており、その棚には何百、いや何千もの革装の本という本で埋め尽くされていたからだ。そしてその本は、裂け目のアナの部屋で見たものによく似ていた。

 ゲーンは息子へ向き直り、
「見ての通り、ここは図書室だ。そしてこれから毎日お前が勉強のためにやってくる部屋になる」
 そういいながら部屋の隅にある石製の机を指差す。
「あれがお前の机だ。だが始める前に、俺がなぜお前をここに連れてきたか、その理由を見せてやろう。そしてなぜドニの技を学ぶ必要があるかということをな」
 そして、手招きして息子をそばへ呼び寄せると、その手をとって高座に上がらせた。高座の真ん中は、台座で囲まれた小さな水溜りになっていた。ゲーンはアトラスの前に立つと言った。
「さあ、本を1冊選べ」
「え?」
「本を、選べ」
 そういわれて、本棚に目を移し並べられた本を流し見する。しかし、本の背表紙には何も書かれていないか、もしくは意味が分からない模様が書かれているだけで何も中身を想像させる情報が書かれていない。思わず父の顔を見たアトラスだったが、急かすように「さあ、選べ」といわれるばかりだ。そこで仕様が無いのでとりあえず緑色の本を手に取った。その本はなんだかワクワクするような匂いがする気がしたのだ。
 ゲーンはその本を手に取るとパラパラとめくり、中身を確認してうなづくとアトラスの方を見ながらうやうやしく本を台座の上に置く。アトラスはその台座の上に置かれた本の開かれたページを覗き込んだ。
 左のページは真っ白だが・・・右のページは・・・・!
 アトラスは、右のページにある小さな四角のなかに現れた映像の明瞭さに思わず息を呑んだ。なんということだろう、それはまるで絵というより、小さな窓から外を眺めているようだったのだ!
 手前には、シロアリの巣のようなこげ茶色の三角錐形の塚が広がっていた。そしてその後ろにはまるでエメラルドグリーンのように色鮮やかな青々とした背景が広がっている。その奥に、少しだけ雲の無い空が見えた。
 そしてその画像は見ているうちに少しずつ変化していく。まるで目が画面の外のものを追うように少しずつ右へ傾き、先ほどまで手前に見えていた塚が姿を消し、代わりに岩の間を水が滑り落ちる小川が現れた。その小川が美しい透明な池に注いでいるのも見て取れる。そして、その小川をじっと見る間もなく画面は移ろいでいき、小さな水路を越えていくと、今度は茂みのように低い木で覆われた谷が現れた。そしてそこには目にも鮮やかな果物がたわわに実っている様子も見える。また、緑の斜面に囲まれた細長い透明な池や、更に向こうには雪を頂いた山々もちらりと見えた。しかし、そこまで来て画面はこげ茶色の塚に戻ってしまった。
 ゲーンはアトラスの方へ歩み寄る。
「さあ、手を貸せ。今この時、お前はドニ人になる。これがお前が生まれてきた意味だ」


* * *


 突然、アトラスの身体に電流が走ると、彼はその手のひらの皮膚がうずくのを感じた。それはまるで彼の手が、左のページの「窓」に吸い込まれるような感じだった。引き寄せられる・・・!
 しかし、うずきは一瞬のことで、次の瞬間、よろめいたかと思うとアトラスは自分がそのページへ吸い込まれるのを感じた。いや、吸い込まれたというよりもその「窓」が突然広がったと同時に、彼の体がすっかりその本の繊維の波に閉じこまれた感じだ。そして同時に、彼の何かが飛ばされるのを彼は感じた。それはまるで彼という存在が溶け、彼の壊れやすい「殻」が内側に破裂して、そしてまた壊れた彼が元に戻り、その後に暗闇が広がっていくという感じだった。
 そしてやっと彼が暗闇に身を任せた時、アトラスは自分が自分の体の中に戻ってきていて、塚の前の草原に立っているのに気づいた。爽やかな風が彼の顔をなでる。足元には小川が流れ、その先には谷や滝があるのが見えた。
 大理石の台座や、本で埋め尽くされた壁、硬い岩の天井が一瞬にして消えてしまったのだ!それでもアトラスはそれらが見えないけれどそこにあるのではないのかと思い手を伸ばして触ろうとする。しかし、そこには何も無かった。
 この一瞬のうちに起こった変化に驚きながら、彼は天を仰いだ。子供が書いたような白い雲が、青い空を泳いでいるのが見えた。虫の羽音、酔いそうなほど甘い花や果物の匂いが彼の五感に押し寄せる。
 あまりの驚きに、彼はよろめきひざを付いた。魔法だ・・・魔法に違いない!そんな彼の後ろでゲーンが揺らめきながら姿を現した。
「立て、アトラス」
 静かに、しかし力強く彼は言う。そういわれて、よろめきながらもアトラスは立ち上がり、父の顔を見た。彼は自分の身に起きたことが今になっても信じられないでいた。
「ここは・・・・?」
 ゲーンは歩みを進め、そういうアトラスを通り過ぎると小川の傍の坂の手前で立ち止まり、黙って小川を見下ろした。そして、アトラスが横にやってくると、胸を張って彼を見ながら答えた。
「かつて、ドニは服を着たり食事をしたりということと同じくらい当たり前に修得してきた技術を使って、何百もの世界を支配していた。そしてそれが彼らの絶頂期だったのだが・・・」
 そういって、ゲーンは首を振る。
「しかし、それはもう過ぎ去ってしまった。今残っているのは俺とお前、そして我々が作る世界だけだ」
「世界を・・・作る?」
 ゲーンは彼らの足元に広がる大地を見回してからうなづく。彼の顔には確固たる自信がみなぎっている。
「そうだ、アトラス。この世界は俺が作ったものだ。我々が立っているこの岩も、吸っている空気も俺が作った。草や木、虫や鳥もだ。花の形や色も俺が決め、それを育む土を作ったのも俺だ。山や川も、そうお前の目に写るもの全ては俺が作ったものなのだ」
 そういいながら息子の方を向き、ゲーンはその肩に手を置く。彼の瞳には興奮の色が揺らいでいた。
「俺は、これから、お前を見習いにしてお前に本について教えるつもりだが、どうだ?」
 そういわれて、アトラスはゲーンを見上げた。突然、彼の脳裏にゲーンが裂け目に現れたときのことが思い出された。砂漠に現れたゲーンからあふれ出さんばかりに感じた力に、知らないうちに畏怖を感じていたあの時のことを。そして、アトラスは父のほうへ向き直りはっきりと答えたのだった。
「はい。是非教わりたいです」

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