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第5章 その4

   ↑  2006/10/29 (日)  カテゴリー: アトラスの書
~5章 その4~(PB 99ページ~105ページ)

 エデル・トマーンを出発した後の彼らは、じめじめした細い道を進んでいた。時折、道の途中に洞窟が現れては消えていく。まるで、蟻の巣のような道だ。
 しばらくそんな道が続いたかと思うと、とりわけ狭い道の先に今までで一番大きな洞窟がいきなり目の前に広がった。天井は12~15メートルはあろうかというほど高く、手に持ったランタンでは全てを照らすことが出来ないほどの巨大洞窟である。前方から左にかけて、岩を抱えた大きなため池が広がっている。一方、右側はというと、石がゴロゴロ散乱していてなかなか進みにくそうだ。
 ゲーンは、そこで立ち止まりリュックの中からポットのような容器を取り出して地面に置くと、今度は帽子を取り出してかぶった。そして、アトラスにちらりと目配せをする。どうやら、お前も帽子をかぶれということらしい。
「ここから道が険しくなるぞ。そうしたら近いうち、ブーツを履いていて良かったと思う時が来るだろうよ」
 ゲーンはそういうが、アトラスはいまいちピンとこない。確かに、ブーツは見た目も匂いも良いのだが、履き心地がすこぶる悪いのだ。アトラスの両足のかかとと、右親指の外側はすでに擦れてヒリヒリし始めていた。
 リュックの中から、昨日もらったばかりのドニ式ヘルメットを取り出してかぶる。そして、ゲーンを見上げると、彼はさっき取り出したポットのような容器を手に持っていた。
「ついてこい」
 というと、珍しくゲーンは息子に笑顔を向けた。
「さあて、ここからがお楽しみだ」
 アトラスがうなづき、地面に置いた自分のリュックを取ろうとしゃがんだ時、突然目の前がいきなり明るくなった。まるで、屋根がいきなり透明になって太陽の光が注ぎ込んだようにまぶしくあたりが明るくなったのだ。見上げると、その光はゲーンの持っているポットのような容器から吹き出していたのだ。そこからまばゆいばかりの光が噴出し、洞窟がまるで昼間のように照らし出されている。そして、灯しだされた洞窟の驚くべき光景を目にして、アトラスは思わず目を見張り、そして夢ではないかと両手で目をこすった。

 それは、まるで水晶の滝だった。天井から溶け出し、まるで滝のように流れ出ているのだ。今まで目にしたことのない、アトラスにとっては衝撃的な光景だった。
「なんなの、これ?」
 さして感動する様子もなく岩を登る父の後を追いながら、アトラスは尋ねた。そのアトラスの声音には、その荘厳な光景への畏敬の気持ちがこもっている。前に進みながらも、アトラスの目は絶えずその水晶のカーテンへ向けられていた。
「あれは、点滴石といわれるものだ」
 ゲーンは、簡単にその「水晶の滝」について説明する。つまり、掻い摘んで言うと鍾乳洞なのだな。ただ、水晶でできているという風に書いてあるので、普通の鍾乳洞のように、乳白色をしているわけではなさそうだけれど、形成の過程はどうやら同じであるらしい。
「心配するな、アトラス」
 そういって、ゲーンは笑う。
「こんなことで驚くなら、この先数時間驚きっぱなしだぞ」
 やがて洞窟の出口までやってくると、アトラスはしばらく立ち止まりしっかりとその光景を目に焼き付けた。そして、もうすっかり先に行ってしまっているゲーンの後を追ったのだった。


***


 ゲーンの言ったとおり、アトラスはその後、行く先々でいくつもの驚くべき光景を目にした。たとえば、彼の腕ほどの細さのクリスタルの「つらら」がいくつも天井から垂れ下がっているクリスタルの森のようなところなど、鍾乳洞に行ったことがある人なら、想像が付くような光景が続く道のりだ。
 そんな景色を目にするのはとても楽しかったのだけれど、それとは逆に先に進めば進むほど、アトラスの足は深刻に痛み始めていた。最初は単に履き心地が悪いと思っていたのだが、だんだんヒリヒリとしはじめ、やがて痛みに変わって行き、とうとうあまりの痛さに一歩歩を進めるたびに、体が強張るほどになってしまったのだった。

 長い道のりの末、やっと浅い池で仕切られた洞窟で休みを取ると、アトラスは真っ先に片方の靴を脱いだ。すると、ゲーンがやってきてそばに跪き、
「見せてみろ」
 という。そこでアトラスは、膝まで捲り上げた足を恐る恐るゲーンに見せた。
 見てみると、3箇所で皮がむけている。そして、血の筋が踵からつま先にかけて流れていた。ゲーンは、アトラスの反応を見るように、落ち着いてその顔を見てから
「俺のカバンの中に、軟膏が入っている。それを塗れば、少しは痛みが治まるだろう」
 アトラスは、言われたとおり軟膏を塗り、包帯を巻くと、再び靴を履いた。 その様子を見て、ゲーンはアトラスを喜ばそうと、
「よし。では行こう。道はすぐそこから始まっているからな」
といった。
「道って?」
「ドニの入り口さ」
 その言葉に、アトラスの気持ちは高揚した。
― ドニだって!
 頭の中に、アナが話してくれた物語の風景がいくつも浮かぶ。ああ、あのドニにもうすぐ行けるなんて!アトラスは興奮し、足の痛みもすっかり吹っ飛んでしまったのだった。


***


 アトラスは、トンネルの入り口のアーチを見上げていた。見るからに手の込んだ石と金属製のアーチだ。
「もうドニについたの?」
「いや、まだだが、ここがドニに入る道の入り口だ」
 アーチの真下から、突然道がきれいに舗装されていた。色とりどりの金属と石のタイルが渦状にどこまでも広がっている。そして道は、傾斜することなくまっすぐに続いているのだ。それは紛れも無く、自然の仕業などではなくドニの技だった。
 ゲーンに続いてアーチをくぐる。大理石の床を叩くブーツの音があたりにこだました。アトラスは、右足に体重をかけないように足を引きずりながら歩いていたが、もう痛いとは言いまいと心に決めていた。
―いつ、ドニにつくの?
 そう聞きたくてしょうがなかったが、ゲーンは考え事に没頭しているように見えたし、その邪魔をしたくなかったから黙っていた。

 道を進んでいくと、途中からふと空気が変わった。生暖かく、少し息が詰まる感じだ。そして、嗅ぎなれた匂いもしはじめた。硫黄のにおいだ。
「ゴーグルをつけたほうがいいぞ」
 ゲーンは、アトラスを振り返って自分のゴーグルをつけながら言う。言われたとおりゴーグルをつけ、そしてポケットからアナが作ってくれたマスクを取り出し、鼻と口を覆った。今朝、こっそりと荷物に滑り込ませておいたのだ。

 トンネル内は少しずつ明るく、暖かく、ムッとした熱気がこもり始めた。すると、急斜面の後、トンネルが突然終わった。しかし、道は続いている。そして、その道のすぐ下2.5メートルほどのところには、溶岩の海がうねりを上げていた。
 その溶岩の海が生み出す熱は強烈で、息苦しいまでの熱気だ。ふと気づくと、ゲーンもマスクをしていた。まさかこんな何の防御も無いままあの溶岩の海を渡るのだろうか、とアトラスは不安になった。しかし、ゲーンはアトラスを振り返り、
「さあ、ここからはしばらく止まらずに歩くんだぞ。橋の向こう側に行ってしまえば、だいぶ涼しくなるからな」
 アトラスは、そう言われて一瞬躊躇したが、仕方が無く橋を渡っていくゲーンの後を付いていった。橋の上に立つと、厚い靴を履いていても感じるほど、下から突き上げる熱気は更に顕著になる。アトラスは靴を地面になるべく付けないように、ほとんど走り出していた。

 橋の上を進んでいくと、アトラスはとんでもないことに気づいた。
 ずっと続いているものと思っていた橋が、突然途中から無くなっているのだ。橋の一部が崩れ落ち、細い梁だけがかろうじて残っている。
 アトラスは、ゲーンが難なくその細い道に乗り、速度を緩めることなく渡っていくのを見ていた。しかし、いざ自分がやるとなると足がすくむ。・・・無理だ!
 足下では、灼熱の海が波立っている。どろりとした海面がまるで生き物のように波打つ度に、極度に熱せられた空気が次々とそこから湧き出て行く。あたりは蒸気と蒸せるような硫黄のにおいで沸き返っていた。
 アトラスは、思わず咳き込んだ。足は燃えるようだし、肺は爆発しそうだ。急いで梁を渡ってしまわなければ、アトラス自身が壊れてしまいそうだ。
「早く来い!」
 梁の反対側でゲーンが促す。
「止まるな!歩き出すんだ!もう少しだぞ!」
 頭がフラフラする。それに、今にも落ちてしまいそうな気がする。もし落ちたら…。
 アトラスは、なんとか梁の上に足を踏み込んだ。すさまじい熱が、靴を通して彼を直撃する。
「その調子で進むんだ!」
 ゲーンが声をかける。しかし、アトラスはそれ以上動けなくなってしまった。まるで、石にでもなってしまったかのように、体が固まってしまっているのだ。
「しっかりしろ!」
 すると突然、梁が傾き始めた。
―落ちる!!
 アトラスは戦慄した。しかし、その瞬間、彼の本能が咄嗟に働いた。梁が傾き始めると、無意識に彼はジャンプしていたのだ。そして、気がつくとドサっと音を立てアトラスは梁の反対側の地面に着地していた。
「ああ…」
 視界がぼやけ、息ができなくなる。アトラスは、ぐらりとよろめくと、後ずさりした…。

======

ここまで。
105ページに、見事に途中から崩落している橋の絵が描いてあるので参考にして欲しい。

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